連載:おいもと僕の15年 芸人・伊藤智博(LLR)

連載:おいもと僕の15年 芸人・伊藤智博(LLR)

第一話 ギターケースの中に、君はいた

男、女、男、男ーーーー

もはや、歌っているというよりも、
目の前を通り過ぎる人間の性別をただただ確認するという作業の方に集中しているかもしれない。

女、女、男、男ーーーー

中学2年の春、子供の頃からよく遊んでくれていた近所のお兄ちゃんが、
就職と同時に使わなくなったアコースティックギターを僕にくれた。
中学2年の男の子にとって、
ギターは魔法の杖だ。
これさえ使いこなせれば、
気になるあの子も振り向いてくれるだろうし、
文化祭ではヒーローになれるだろうし、
なにより少し内向的なこの性格も少しは明るくなれるはず。

男、女、男ーーーー

中学2年の淡い期待を、
魔法の杖はほんのりと叶えてくれ、
気になるあの子は振り向いてくれなかったけれど、
他の女子からは告白されたし、
文化祭で演奏する機会はなかったけれど、
少しだけ明るくなった僕に、
友達は増えた。

女、男ーーーー

それまで特に熱中するものもなかった僕にとって、
ギターはやっぱり魔法の杖で、
そこからは暇さえあればギターを触った。
一つのものに夢中になれる自分が新鮮で、
そんな自分を見つけてくれたギターのことがより好きになった。
高校では気になるあの子に向けて作った曲を公園でこっそり披露したり、
乱暴な友達に雑に扱われて初めてケンカもした。

男ーーーー

進路を決める時期に差し掛かった頃には、
音楽で食べていくということを心に決めていたけれど、
親の勧めるとおりに大学に進学し、
そこで一生の付き合いになると確信させてくれるくらいの仲間たちにも出会った。

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伊藤智博(LLR)
4匹のねこ(ちょび丸、とら丸、まる子、まる助)と柴犬(りき丸)と暮らす愛猫・愛犬家。
ハーレーに乗りアイドル好きでアメカジ好きのコメディアン。
伊藤家の猫と犬たち。

https://www.instagram.com/llritoneko

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